日本の道



 イランに戦争の危機が迫っている。政府は、ホルムズ海峡封鎖に備え、タンカーに護衛艦を付け、掃海艇を派遣することにつき、自衛隊に対処案を作るよう指示したようだ(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120211-00000086-san-pol)。
 日本に輸入される石油の8割はホルムズ海峡を通って来る。従って、海峡を通る日本関係船舶が危機に曝された場合、それを護衛しなければならないのは、やむを得ない事だ。もし護らねば、タンカーは沈められる。沈まないよう、タンカーの運航を止めれば、日本は石油を得られない。
 南方の油田地帯から石油を得るために、沈められても沈められても、タンカーを送り続けなければならなかった大東亜戦争。ついにはタンカーも無くなり、日本は戦争継続が困難になった。
 戦後日本は平和国家を目指し、戦争を回避しつづけた。だが・・・。
 イランがホルムズ海峡を封鎖し、日本がそれを突破しようとすれば、イランは死に物狂いで日本船舶・艦船を攻撃するだろう。イランにしてみれば、アメリカ軍より、全面戦争になりそうもない日本を攻撃して脅かす方がいい。そう考えるかもしれない。イラン軍を指揮するのは、イラン・イラク戦争を経験した実戦経験豊富な指揮官だ。
 イージス・システムが如何に優れていても、それを運用するのは人間だ。まともな交戦規定すらない自衛隊。もし日本の自衛艦が中心となり、海峡封鎖を突破するような事態になれば、イランは、最初の一撃として、イージス艦潰しのため航空機による低高度肉薄攻撃を選ぶかも知れない。自衛艦は攻撃を受けるまで敵機を撃墜できない。体当たりに近いくらいギリギリまで接近してから空対艦ミサイルを発射されたら・・・接近するミサイルを撃墜する余裕は、恐らく全くない。
 そして、自衛艦は大破、日本の世論は激高。これを受け、アメリカは日本から戦費の保障を取り付け、日米安保を口実に日本の金でイラン攻撃に踏み切る・・・ホワイトハウスでは、既に、そんな筋書きも練られているかもしれない。
 日本とイランは敵国同士ではない。むしろ親しい国だ。日本は欧米石油メジャーへの依存を減らすため、その支配下に無いイランに石油供給ルートを求めた。日本が行った数少ない独自外交。日本は、イランから一割の石油を輸入している。
 その日本とイランが戦わなければならないかもしれない。イランがホルムズ海峡を封鎖したら・・・そこは日本の大動脈でもある。動脈が切られたら日本は死ぬ・・・だから、戦わねばならない・・・だが、敵同士でも無い日本とイラクが何故?
 ヘンリー・キッシンジャーなら、恐らくニヤニヤしながら言うだろう。「我々は何も命じていない、全て日本が自分の意思で選んだ事だ。」
 これはイランの核開発を阻止し自国の安全を確保したいイスラエルと、イランの石油を独占したい欧米石油メジャー、武器の在庫を一掃したいアメリカの軍事産業が書いたシナリオだ。
 彼らから見れば、欧米石油メジャーに逆らう動きをするイランや日本は、懲罰の対象にしか見えない。その二者を対決させても何も痛まない。だから、そういうシナリオを書いたまでだ。日本は、それに対処するシナリオを描けなかった。だから、こうなりつつある。
 もし、こんな日本が嫌なら、日本を核武装させ、国際政治のシナリオを書く側に回らせなければだめだ。欧米石油メジャーによる支配から逃れたいなら、日本は海洋からのウラン回収を行い、原発を推進すればいい(http://blog.livedoor.jp/takami_neko_shu0515/archives/66512698.html)。
 ヘンリー・キッシンジャーなら、こう言うだろう。「我々は何も命じていない、全て日本が選ぶ事だ。」
 だが、彼らは状況を操作し、それ以外選ぶ道が無くなる状態を作ってから、相手に行動選択させることを忘れるな。選んだんじゃない、それしか選ぶものが無くなっているのだ。何故そうなるかって?、それは、シナリオの先を読まず、そうなるまで放置していた者、つまり我々の責任。
 建国記念の日に、日本の将来を憂うる。



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