国家衰退戦略を採用する日本の官僚



「国家衰退戦略」とは私の造語である。だが私は、日本国の官僚たちが、国家衰退戦略を密かに推進していると疑っている。
 日本には大きな潜在力がある。例えば、メタンハイドレートや海水中のウラン採取などの資源。しかし、こうした資源開発の進捗が遅いのは、経産省が乗り気でないからだ。また、医療分野では、再生医療や遺伝子医薬の研究が進んでいるが、ビジネス化はまだまだだ。厚労省が積極的でないのだ。
 役所が積極的で無いと、何が問題なのか?
 予算がつかないと言う事もあるが、それ以前に、基準作りや指針が示され、法整備がされないと、企業はビジネスを開始できない。新製品を開発したは良いが、規制されて使えません・・・ということでは企業は困るのだ。
 金融面にしても、日本のパワーは今も巨大すぎるくらいだ。だが、その力を財務省や日銀は殺している。あらゆる面で、こうした現象が見られる。成長できるのにさせない・・・日本は、自分で自分の首を絞めているように見える。
 最初、これは非効率な官僚制の弊害や、官僚の無能さによるものかと考えていた。また、民主党アメリカなどからの圧力があるのかと。そういう問題も無くはないだろう。だが、もっと問題がある。日本の官僚は小知恵が働く。実は、その頭の良さが良くない。
 日本の官僚は日米貿易摩擦の時、散々叩かれた。CIAからノーパンシャブシャブのような宣伝工作活動まで仕掛けられ、失脚させられることすらあった。それは、日本の過剰な成長が齎したリアクションだと、官僚たちは認識しただろう。トラウマなのだ。国際的な摩擦を齎す巨大国家の成長はキケンだ・・・。
 かつて宮沢喜一武村正義が政権にあった頃、日本の目指すべき国柄として「小さくてもキラリと光る国」とインタビューで答えていたことを思い出す・・・今思えば、これは日本が大国主義からの決別を意味する言葉であったと私は思う。石橋湛山の小国主義の再来だ。
 日本を取るに足らない二流国にする。目立たない国家として、国際社会の一角に位置させる。北欧や東欧の国のように。そうした国であれば、官僚は国際的な問題に思いわずらわされる事も無く、国内の問題に主に専念し、そして官僚は国家の選良としての地位にあり続け、名誉ある職務を終生遂行できるのだ。
 偉大なる安定的官僚小国家を永続的に維持できる。
 恐らくそれが官僚たちの夢なのではないか?
 その為には、今の日本は大きすぎ、また発展し過ぎており、国際的にも目立ち過ぎる・・・。
 少々前置きが長くなったが、そんなことを考えさせる産経新聞の記事を見た。編集委員の方が書いた論説だと思うが引用する。
『12年前、日産自動車の社長となって経営再建目標数値を「コミットメント」(通常の邦訳は「約束」)したカルロス・ゴーン氏は、日本人スタッフに対して「コミットメントを日本語で[必達目標]と表記しろ」と命じた。
 国家の経営はどうか。「20年デフレ」の日本にとって、最も優先すべきなのは経済成長軌道への復帰で、それこそが必達目標のはずだ。過去20年間で経済規模を21倍膨らませた中国が楽々と18倍以上も軍備を拡張しているのに、日本の防衛予算は経済の萎縮と共に減る一方だ。ゼロ以下の成長は国家の自殺なのだ。
 民主党政権は一応「脱デフレ」を口にする。菅直人前政権は「新成長戦略」で名目経済成長率3%、実質成長率2%の目標を掲げ、野田佳彦政権も「日本再生の基本戦略」で踏襲した。ところが、野田政権と民主党執行部にとってはこれらの目標は「約束」ですらないようだ。
 党内の消費増税慎重派は上記の成長率達成を増税の条件にせよと迫るが、政府・党執行部は「それでは増税できなくなる」と恐れる。
 国内総生産(GDP)は名目と実質値に分かれるが、ナマの経済活動は名目値に反映される。経済協力開発機構OECD)統計を見ても、名目成長率3%は先進国ではやすやすと達成できる最低ラインである。
 興味深いエピソードを高橋洋一嘉悦大学教授から聞いた。氏の財務省在籍時、同僚がOECD事務局首脳との会合を持った。この官僚は名目成長率が上がれば、国債金利が上がって財政破綻の恐れがあると真顔で打ち明けた。すると首脳は「そんなバカな、経済成長して財政破綻する国なんてありえない」と仰天した。
 財務官僚の論理は今でも変わらない。名目成長率が上がれば上がるほど、金利負担増以上に税収が増え、財政収支がバランスするという経済学上の定理に目を向けない。1995年1月の阪神大震災後、復興需要でデフレから脱却し、成長率も回復すると見るや、97年に橋本龍太郎内閣に消費増税など緊縮財政を仕掛けて実行させた。翌年から再びデフレの泥沼に日本列島がはまった。
 日銀官僚にもまた、デフレ容認の遺伝子がつきまとう。日銀が改正日銀法(98年施行)で「政府からの独立」を果たして以来、ことし1月までの間、消費者物価が前年比でマイナスになった月数は72%に及ぶ。日銀生え抜きの白川方明総裁は、この間の物価上昇率ゼロ以下政策にことごとく関与してきた。その白川総裁は米連邦準備制度理事会FRB)が2%のインフレ目標をこの1月に決めるや、あわてて「1%インフレの目安」を発表した。
 かの日銀の政策転換だと、市場は驚き、相場は円安、株高に反転した。ここで白川総裁は「国債など債券の金利が1%上がると、国内の銀行がもつ債券が6兆円超も値下がりし、損失を被るおそれがある」と言い出した。物価が上がりそうだと市場が予想すると名目金利が上がる。すると、預金の大半を国債で運用している銀行が困るという論法だ。
 しかし、市場経済はダイナミックだ。脱デフレで名目成長率と名目金利が上がれば、国内の余剰資金は、株式市場に回り、経済が活気づく。金融機関、企業、年金、家計などの保有株式資産価値はグンと上がる。
 政治が、経済成長恐怖症の財務・日銀官僚を突き放さない限り、日本再生は不可能なのだ。(産経・田村秀男 2012.3.20)』(http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120320/fnc12032003220000-n1.htm
 繰り返すが、私は日本の官僚が、日本の国家戦略として、意図的に「国家衰退戦略」を行っていると疑っている。日本の自滅は意図的なものだ。官僚たちの目的は、日本の官僚システムの保存にある。その他はどうでもいいと考えている。領土の一部を失っても良い。天皇制は変質しても良い。日本の国柄の一部を失っても良い。移民が増えて犯罪が少し増えてもやむを得ない。
 ただ、圧力にさらされ、官僚たちが傷つくのだけが嫌だ。それさえ避けられるのであれば、譲歩しよう。そして無機的で小さな、官僚国家日本を、永遠に存続させる。それだけができれば成功だ。
 そんな風に考えているのではないか?(以下、日本の官僚たちに言いたい事)
 だが官僚たちよ、そんな考え方のせいで、日本人は苦しんでいるぞ。多くの日本人が失業している。年間3万人以上もの日本人が自殺している。多くの若者が苦しみもがいて死んでいるぞ(http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120318/wec12031818000002-n1.htm)。
 日本を成長させろ。
 国民はその為に、官僚などというものを税金で養っているんだ。
 日本を超大国にして見せろ!



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