武器なき平和を世界は望まない
７月末、「武器貿易条約」の失敗を巡るニュースが流されていた。微妙に論調の異なる記事が気になったので紹介したい。
『通常兵器の国際取引を初めて国際法上の規制にかける「武器貿易条約」の国連交渉会議は最終日の２７日、最大の武器輸出国である米国が議長案の受け入れを拒み、決裂した。
大統領選を控える米オバマ政権が国内の銃規制反対論に抗しきれなかったためだ。今後も交渉は続けられるが、難航は必至だ。
議長案は、弾薬を規制品目から外し、国際人権法など取引の許可基準運用を各国の判断に委ねる方針を強調するなど、米国の主張にほぼ沿った内容だった。
ところが、米国は２７日午前の会議で突然、「（同意に必要な）時間が足りない」と議長案への不同意を表明。第２の武器輸出大国・ロシアも採択の先送りを主張し、条約反対派で反米の北朝鮮やキューバまでが相次いで同調した。同会議は全会一致が原則で、ロベルト・モリタン議長（アルゼンチン）は調整を断念した。（読売新聞 7月28日）』（http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120728-00000897-yom-int）
上の読売の記事では、国連の武器貿易交渉の不調は、銃規制を恐れる米国が拒否したためと、責任を全て米国に押し付けている。
ところが、同じ読売の記事なのに、以下の記事では、交渉失敗の原因が、米国だけでなくロシアにもあるとしている。
『通常兵器の貿易規制、決裂…米露が同意保留
通常兵器の国際取引を初めて国際法上の規制にかける「武器貿易条約」の国連交渉会議は最終日の２７日夕、ロベルト・モリタン議長（アルゼンチン）の条約案に合意できず、決裂した。
推進派と反対派の対立に加え、武器輸出大国の米露が同意を保留したためだ。
２６日に提示された議長案は、人道犯罪を助長する武器取引の禁止を明示する一方、弾薬を規制品目外とするなど、アフリカ諸国など推進派と北朝鮮やイランなど反対派の妥協を図ったが、逆に双方の反発を買った。さらに米国が２７日、「同意に必要な時間が足りない」などと主張し、ロシアも同調。議長は調整を断念した。各国は推進派を中心に今秋以降の交渉再開の可能性を探るが、具体的な見通しは立っていない。（2012年7月28日12時24分 読売新聞）』（http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120728-OYT1T00548.htm?from=popin）
そして今度は、テレ朝ニュース。
『「武器貿易条約」国連での交渉がロ中反対で決裂
国際的な武器取引を制限する「武器貿易条約」の制定に向けた国連での交渉が決裂し、採決もできないまま廃案となりました。
現在、国同士で銃などの取引を規制する国際条約はなく、「武器貿易条約」の制定を巡る交渉が行われました。条約の制定には全会一致が原則ですが、北朝鮮やシリアなどが当初から強く抵抗し、さらに武器輸出国のロシアや中国などが「規制対象が広すぎる」などと反発していました。結局、会議最終日の27日、同じく武器輸出大国であるアメリカが、「条約の文言などを詰めるには時間切れだ」と表明し、採決さえできず、条約案は廃案になりました。これに対し、日本を含む約90カ国は、国連総会で引き続き議論するよう求める声明を出しています。(07/28 テレ朝ニュース)』（http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220728021.html）
このニュースでは、ロシア、中国、アメリカ、そして北朝鮮やシリアも反対していることが紹介されている。
で、結論として「武器貿易条約」に賛成できる国は、限られた国だと分かった。
つまり・・・、
武器を自国で生産できない小国（北朝鮮、シリア）は、武器の調達が出来ないと侵略を受けたり反乱を鎮圧したりできないから反対。
一方、武器をバンバン作れる超大国（ロシア、アメリカ、中国）は、武器が売れなくなると困るから反対。
だから、賛成できるのは、日本のように武器は作れるけど、積極的には売りませんよ、という優等生みたいな国だけ。
基本的に、ガキ大将とチンピラで構成されている世界では、優等生の意見は通用しない。この世界では、あまりしつこく優等生ぶってると、焼きを入れられボコボコにされるというのが、大東亜戦争における日本の経験だから、主張もほどほどにしないとね。
武器なき平和を、世界は望んでいないのだ。
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