湖底の四式中戦車



 四式中戦車とは、大東亜戦争末期、戦局逆転の期待を担いながら戦場に出ることなく終戦を迎えた旧日本陸軍の戦車である。それ以前の日本戦車とは一線を画し、最初から対戦車戦闘を念頭にして、長砲身の75ミリ戦車砲を備え、米軍の主力戦車であるシャーマン戦車に匹敵する火力を持っていた(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%BC%8F%E4%B8%AD%E6%88%A6%E8%BB%8A)。完成したのはわずか2両であり、戦局に寄与することは無かったが、終戦に伴い、その内の1両が浜松市の猪鼻湖に遺棄されたという。ネットで、それに関する話題を見つけたので紹介したい。

浜松市北区三ケ日町で、同町の猪鼻湖に眠る「幻の戦車」の調査プロジェクトが動き出した。戦車は戦後ひそかに沈められたとされる「四式中戦車チト」。地元の若者たちが戦争を体験した住民らを訪ねて戦車と同町の関係に迫り、地元の歴史の再認識を図る。国内に1台しか残らないという歴史的遺産の探索は全国から注目を浴びそうだ。
 戦車が沈むのは同町大崎と下尾奈を結ぶ瀬戸橋付近。地元では昔から存在は有名だったが、終戦間際の日本陸軍が技術を結集したチトだということは知られていなかった。
 調査に乗り出すのは、同町の若者たちでつくるまちおこし団体「スマッペ」。中村健二事務局長が戦車が歴史価値の高いチトだと聞いたのがきっかけだ。中村事務局長がチトについて調べるうちに、水没作業に携わった技術兵で、戦後同町に暮らしていた大平安夫さんが既に亡くなっていた事を知った。当時の町の状況についても高齢化によって情報収集が困難で「地元の歴史を次世代に残すためには今しかない」と調査を決めた。
 同団体の若者を中心に、町内の70、80代の住民への聞き取りを実施。生前の大平さんに水没の経緯を聞いたことがある豊橋市の模型メーカー「ファインモールド」の鈴木邦宏社長らにも話を聞くという。
 実際の調査には、豊橋市の魚群探知機メーカーの協力を受けた。戦車の位置を確定し、ダイバーによる水中写真の撮影が大きな目標だ。一連の活動記録をドキュメンタリー映画として撮影し、映画祭などの出品も予定。来年2月をめどに兵器や戦史の専門家によるシンポジウムも検討している。(2012/9/17 静岡新聞)』(http://www.at-s.com/news/detail/450477212.html

 この幻の四式中戦車の一件、実は、模型ファンなどには良く知られた話である。上の記事にも出てくるが、模型メーカーのファインモールド社が以前、湖底からの引上げを検討していたが、作業で湖が濁る可能性があることから、漁業関係者へ配慮して中止した経緯がある。
 こうした旧軍の兵器は、戦後の左翼的な風潮から、日本ではまともな収集、保存が殆どなされていない。随分昔になるが、京都に嵐山博物館というのがあって、そこに旧軍の兵器が沢山展示されていた。だが、経営難に陥ったようで、閉館と共に展示物も散逸してしまった(http://www2.sega.co.jp/bbs/article/a/advanced/30/zfwckk/dqckbj.html)。
 日本以外の国では、公的に管理される軍事博物館が幾つもあって、大戦で戦った兵器が敵のものも含めて誇らしく展示してある(http://goinkyox.com/Gunji/index.htm)。それらは観光スポットにもなっていて、観光客も沢山訪れている。今、日本で旧軍の軍事遺物が比較的まとまって見られるのは、靖国神社遊就館http://www.yasukuni.jp/~yusyukan/)ぐらいではないか。
 遊就館の場合は純粋な軍事博物館というより、旧軍の慰霊も目的としているし、海外の本格的な軍事博物館に比べれば規模もそれ程でもないのだが、度々、左翼団体の攻撃目標にされ、廃止させようとする運動すらあるようだ。
 国防の為に先人が必死の思いで作り上げた兵器。そうしたものに何の感謝や畏敬の念も持たず、必要悪とか、唾棄すべき人殺しの道具とか難癖を付けて、その意義を全く見ようともしない戦後日本の風潮・・・。
 それが国防をないがしろにして、領土の為に戦うくらいなら、あげた方がいいというような退廃的な思考にもつながっているように思う。日本人が国土の為に戦うことの重要さに気がつくには、北方領土竹島尖閣を奪われるくらいでは足りないのだろうか?
 湖底に眠る四式中戦車。ただ、調査するだけで朽ちるに任せるのではなく、この際だ、是非とも引上げて、今の日本人へ、国防の意義を伝承するための新たな役割を担わせてあげて欲しいと思う。



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