マリ住民虐殺



 フランスの支援しているマリ政府軍が、住民を処刑しているとCNNが報じた。
『アフリカ西部のマリ紛争で人権擁護団体の国際人権連盟は26日までに、イスラム武装勢力の掃討に当たるマリ軍が武装組織とのつながりが疑われるなどの住民を虐待し、恣意的に処刑していることを確認したと報告した。
 マリ軍は過去2週間、旧宗主国フランスの軍事介入や西アフリカ諸国の派兵を受け、攻勢に転じている。北部を制圧した武装勢力は首都バマコなどへ南進の構えを見せていたが、最近の戦闘では拠点を失い、退却が相次いだ。
 フランスに本部がある国際人権連盟によると、マリ軍は交戦が起きた北部と南部の間の地域で多数の処刑を実施。現場は、セバレやモプティ、ニオノ各町などとなっている。処刑されたのはイスラム過激派との関係が疑われる者や武器を保有していた住民。軍の哨戒任務で身元証明出来なかった者や特定の部族の住民らも対象になったという。
 連盟は、セバレではバス停留所や病院近くにあった軍キャンプ地で少なくとも11人が処刑されたと指摘。別の20人近くも犠牲者となり、事後に急いで埋められたとの信頼すべき情報もあるという。
 ニオノ地方では、トゥアレグ族の2人が殺害されたほか、マリ中央部でも処刑があり、政府軍兵士が同族の民家を略奪したとの情報もある。
 マリ軍の報道担当者は、国際人権連盟の主張についてコメントを拒否している。連盟は独立した調査委員会の迅速な設置や虐待行為の実態調査、当事者の処罰などを要求した。(1月26日 CNN)』(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130126-35027418-cnn-int

 CNNは、イラクアフガニスタンでは、ウィキリークスにより暴露されている米軍による一般市民の被害について、積極的に報じなかった印象がある(ベトナムの戦訓から、最近の米軍は自国のメディアをコントロールしている)。しかし、マリに関しては米軍と関係無いので、対テロ戦争であっても、そうした報道規制は無いらしい。イラク戦争に反対していたフランスに対する米国の仕返しのようにも見える。マリ軍が住民虐殺となれば、軍事介入に国際的な支援を集めようとしているフランスにとって、大きなダメージだからだ。
 マリは混乱状態である。マリ北部ではトゥアレグ族の反政府武装組織「アザワド解放民族運動」が独立闘争をしているほか、サラフィー・ジハード主義組織「アンサル・ディーン」や国際テロ組織アルカーイダ系武装組織「イスラムマグレブ諸国のアルカーイダ」などの組織が独自に活動している。その一方、マリ政府内でも2012年3月にマリ軍事クーデターが起こり、政権が変わっているのだ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD)。
 西アフリカ諸国経済共同体の派遣軍とチャドの軍隊がフランスと共に戦うとしても(http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2923077/10155298)、よくこんなところに軍事介入する気になれるものである。それもこれも、フランスの国益のためだ。今のところフランスが派遣しているのは空軍と外人部隊であり、フランス人の損害は最小で済むという計算なのだろう。しかし、住民虐殺などで非難が高まれば、戦い続けるのは困難になるかも知れない。
 フランスは対テロ戦争の名目で戦っている。だが対テロ戦争というのは都合のよい言葉で、見方を180度変えれば現地独立勢力の弾圧にもなる。フランスはマリ北部への侵攻を表明している(http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20130121/1358780787)。そこは、独立運動を展開するトゥアレグ族の勢力範囲である。最近中東・アフリカ地域で起こったチュニジア、エジプト、リビアの民衆蜂起では、メディアは民衆側を善とし、軍事政権側を悪として報道した。今、フランスが実施中のマリ軍事介入は、その構図に当てはまらない。逆なのだ。
 そんなタイミングを見計らったように発生したアルジェ人質事件(http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20130123/1358931464)。陰謀論の分析が好きな私としては、もしや、対テロ戦争大義を作る為のフランス・マリ政府勢力側の謀略だったのかも?、なんて疑念すら湧いてくる。
 CNNの報道にしても鵜呑みにはできない。そもそも武装した一般市民からなる武装勢力と、それに加わらない住民とを、混乱した戦場で見分けることなど無理ではないか(米軍自身、その理屈でイラクアフガニスタン市民への攻撃を正当化している)。国際紛争の裏側はどろどろである。 




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