米軍は矛で自衛隊は盾?



「敵基地攻撃能力 日米連携前提に保有の検討を」という題で、読売が社説を出した。
『日米同盟の抑止力を強化する方向で、自衛隊と米軍の役割分担を見直すことが肝要である。
 自民党が、年末に策定する予定の政府の新たな防衛大綱に関する提言案をまとめた。
 自衛のために相手国のミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」の保持について、「検討を開始し、速やかに結論を得る」と明記した。北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に置いたものだ。
 北朝鮮弾道ミサイル能力が向上する中、ミサイル防衛による抑止に限界があることは否定できない。同時に多数のミサイル攻撃を受けた場合、すべてを完璧に迎撃するのは困難である。
 日米両国は長年、自衛隊専守防衛で「盾」、米軍は「矛」の役割をそれぞれ担い、報復攻撃の打撃力は米軍に全面的に委ねる体制をとってきた。
 この米軍の攻撃力の一部を補完する形で、自衛隊が敵基地攻撃能力を保有することは、日米の防衛体制の強化につながろう。
 安倍首相も前向きな姿勢を示している。今月上旬の国会答弁で、日本へのミサイル攻撃が迫っている際に「米軍に攻撃してください、と日本が頼む状況でいいのか」と問題提起した。
 重要なのは、自衛隊がどんな装備を導入するのが良いのか、具体的な検討を進めることだ。
 選択肢としては、攻撃目標の正確な位置を入力し、全地球測位システム(GPS)で誘導する巡航ミサイルの導入や、ステルス性を持つ最新鋭戦闘機F35などによる対地攻撃が想定される。
 巡航ミサイルは、移動式発射台を使うノドン・ミサイルなどへの攻撃が難しい。F35では、相手国への領空侵入を支援する大規模な航空部隊の編成が必要となる。
 どちらの場合も、日本が単独で攻撃するのは非現実的だ。攻撃目標の探知など情報面の協力を含め日米の緊密な連携と適切な役割分担を前提とせねばなるまい。
 提言案は、南西方面の島嶼とうしょ防衛のため、陸上自衛隊に「海兵隊的機能」を付与し、水陸両用部隊を新設することも求めている。
 中国軍が尖閣諸島周辺での示威活動を強める中、島嶼防衛を強化する必要性は増している。陸自は既に米海兵隊と共同訓練を重ね、海兵隊的機能の保有を進めているが、新大綱では装備面を含め、その動きを加速させるべきだ。
 新型輸送機オスプレイ自衛隊が導入することも、前向きに検討していいだろう。(2013年5月18日 読売新聞)』(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130517-OYT1T01487.htm

 敵基地攻撃能力の保有については、当ブログでも度々訴えて来た(http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20130414/1365917961)。それを持つのは、あまりに当然である。
 しかし、読売の社説で承服し難いのは、あくまで「日米連携前提」としている点だ。おかしくないか?
 同盟、国家間の約束、どんな緊密な同盟だって、いつか終わる時が来る。それは、国際情勢の激変により、ある日、突然に訪れるかも知れない。
 日本が見捨てられるような状況があるかも知れないのだ。
 その時、日米連携前提とか、米軍は矛で自衛隊は盾、あくまでそれを補完する・・・そんな考えで構築された軍事力では、何の役にも立たないでしょう?
 どうして、日本から米国を切る、あるいは米国から日本が切られる、その可能性があることを前提にしない?、その考えが無ければ、本当の危機管理にはならないでしょう?
 米国が中国より、韓国よりの姿勢を見せる事もある今、米軍は矛で自衛隊は盾なんて考えで居たら、背後からの一撃を加えられかねない。
 歴史を見れば、緊密な関係が突然終わる事は良くある。米国だって、台湾や(http://www.law.osaka-u.ac.jp/c-forum/box5/takahashi.pdf)、南ベトナムhttp://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1576543/)、最近ではグルジアとか、強い同盟関係があったのに、簡単に見捨てている。
 参考として、米シンクタンクカーネギー国際平和財団が「グルジア戦争、台湾の教訓」と題して、台湾に示した6項目からなる提言を紹介したい(http://ameblo.jp/sunshine-berkeley/entry-10143911351.html)。(以下提言要約)
(1)(西側諸国と締結したorする見込みの)安全保障条約を過大評価するな。
(2)アメリカが助けに来る見込みが無いなら、ロシアや中国を挑発するな。
(3)アメリカと大国(ロシアや中国)との建設的関係こそが、小国(グルジアや台湾)の安全保障の鍵となる。
(4)地政学的リスクを熟考すべし。隣人が何者かを知れ。
(5)武力の裏づけがなければ、穏やかに平和を語れ。
(6)日頃からの信頼醸成が大切である。
 こういうのが米国の本音なら、日本は日米同盟にも大した期待はできないのだ。日本は周辺国との領土を巡る問題(韓国、中国)を解決していないし、国交の無い国(北朝鮮)や、平和条約が結ばれていない国(ロシア)まで隣にある。極東の火薬庫。何時火が付くか分からない火薬の樽の上に我が国はある。
 にも拘らず、軍事力が、米軍は矛で自衛隊は盾などと中途半端な考えで醸成されていいのか!、日本人は、脳漿を振り絞って考えてみるべきだ!



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