共同体再生の必要性


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 宮台真司氏が問いに答えるインタビュー記事の抜粋。
『自分の最終目的を支える価値が、利他性や貢献性と結びつくものであることが、最も強い動機づけを与えるのです。この強い動機づけに基づく行為は、成功すれば、個人を超えた充実や幸せにつながり、失敗しても、挫けない力を与えます。また、失敗しても、動機が利他性ですから、自分の属する共同体から排除されず、包摂されます。つまり、見捨てられるどころか、「英気を養ってもう一度チャレンジすればいい」と勇気づけられるのです。
 今日、グローバル資本主義の圧倒的な勝者はユダヤ系と中国系です。彼らが共通して分厚い血縁主義の社会を生きることが重要です。彼らはどこに留学するにせよ必ず現地にネットワークがあって歓待してくれます。こうして共同体に埋め込まれて背負うがゆえに、「リターンを返そう」という強い動機づけを持ち、この強い動機づけを背景に、激烈なグローバル資本主義を戦うのです。つまり、資本主義の勝者は、強い個人よりも、強い共同体なのです。
――親はどのように構えればいいのでしょうか
 昨今の日本人は「周囲を出し抜く強い個人」という愚かな幻想に囚われています。個人が埋め込まれることで背負う強い共同体だけが、浅ましくない立派な強い個人を、結果として育てるのです。ただ、強い共同体を支えるかつてのリソースは存在しません。また、かつての共同体は権威主義シャドウワークに満ちています。だから、今あるリソースを組み合わせ、かつての弊害をとり除いた、新しい共同体を──我々を──創造する必要があります。(BLOGOS 2015年04月10日)』(http://blogos.com/article/109807/
 共同体が大切。


 宮台真司といえば「筋骨隆々としてタトゥーが入ったしばき隊の方が格好いいぜ」発言で、だいぶ株を落とした(http://www.honmotakeshi.com/archives/41878256.html)。このような宮台の立ち位置は肯定できない。
 だけど上記引用記事で宮台が示している認識は、アメポチではない方の保守派がずっと述べて来た事なのである。
 例えば維新政党・新風の政策。
『「少子化」の問題は、「家族」を抜きにして考えることはできません。言うまでもなく、人間は一人で生きることなどできませんし、孤立した個人が集まったところで何も生まれません。「家族」という愛情あふれる場において、先祖伝来の習慣を受け継ぐ中で、私たちは自分らしい生き方ができるのです。
 戦後の日本政治は、男女平等という美名のもと、そのような「家族」のあり方を積極的に破壊してきました。その結果、男女は生まれ持った各自の役割を忘れ、「家族」を基盤とする地域の生活共同体は崩壊の危機に瀕しています。
 昨今、「男女共同参画社会」という言葉を何度も耳にします。これは、人口抑制を目的として国連が提唱したものですが、その背景に「家庭に留まる女性は社会に参画していない」という女性(とりわけ専業主婦)蔑視の考えが見え隠れしています。
 わが国の伝統的な社会において、女性は決して差別の対象ではなく、むしろアジアの中でももっとも女性の権限が強い社会でした。女性は家庭の中から夫を導き、子供を育て、日本の社会を創造して来たのです。(中略)
 新風は、「家族」の役割について、先に述べた我が国の伝統に基づいた見直しを提唱します。「少子化」に関わる諸課題も、この地点に立ってのみ真の打開策を導くことができるでしょう。
 そのためには、「家族」を礎とする共同体を再生させ、中央政府に依存しなくとも生活できるような仕組み作りが求められます。(新風青年)』(http://www.shimpu.jp/seinen/06.shoshikamondai.html
 私も例えば「思いだす日本的経営の良さ」(http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20120616/1339818802)などの記事で、会社を疑似家族と見做した戦後の日本的共同体の価値を指摘したことがある。


 共同体再生を訴える点では、それぞれ同じである。だけど宮台の主張と新風の政策を見比べて決定的に齟齬があるのは、宮台が「かつての共同体は権威主義シャドウワークに満ちています」と否定的に述べた部分だろう。
 宮台の言う権威主義とは何だろう?
 恐らくは天皇陛下を中心とすることに象徴される家父長制のことであろう。宮台は、それを弊害と述べている。
 そして宮台の言う「シャドウワーク」とは主に女性の家内労働の事だと思うが、新風の政策では、女性の家内労働を「シャドウワーク」のように位置づける事自体が、そもそも女性蔑視であると指摘する(つまり家族や地域の崩壊によって女性の家内労働に価値を付与していた仕組みが壊れ、それによって孤立した女性は家内労働に価値と満足を感じられなくなった[=シャドウワーク化した]のだから、もう一度女性の家内労働に高い価値と承認を与えていた家族や地域社会を再構築せよというのが、新風)。
 つまり宮台は共同体の必要性を叫びつつも、新風が評価しようとする伝統的な共同体については、恐らく否定しているのだ。だけど宮台は、その前に興味深い事実を指摘している。
「今日、グローバル資本主義の圧倒的な勝者はユダヤ系と中国系です。彼らが共通して分厚い血縁主義の社会を生きることが重要です」と述べているのだ。
 ユダヤ系と中国系の血縁主義共同体は、今日まで伝統的な価値観によって生き延びて来た。即ち、ユダヤ共同体はユダヤ教の伝統によって、華僑の共同体は儒教精神の下で、それぞれ伝統的な社会(血族ファミリー)を今も厳格に維持している。
 つまり伝統や慣習に根差す共同体だからこそ、強いのである。強力なのである。
 そうとすれば、今日、日本が共同体を再生するに当たり重視すべきなのも、やはり伝統でなければならない筈だ。日本に於いて、それは天皇陛下を父とし、ご皇室を中心とする家族的共同体であり、平等互恵の精神に基づく価値観ではないか?
 宮台的に言うなら、それが日本社会に「今あるリソース」だ。
 つまり結局、日本の伝統や慣習に根差した共同体を再構築するのが、一番良いのである。


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