不可解な自殺報道

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　ビルの間で女性が死亡しているのが発見された事件。顔に粘着テープが貼られアイマスクがされていた。
『１６日午後、東京・港区のビルの間で顔に粘着テープとアイマスクをした女性が死亡しているのが見つかりました。警視庁は、女性が飛び降り自殺したとみて詳しく調べています。
　１６日午後１時半すぎ、港区白金台で、「ビルの間のフェンスに人が倒れている」と清掃員の女性から１１０番通報がありました。
　警察官が駆けつけたところビルの間のフェンスの脇に女性が倒れ、死亡しているのが見つかりました。所持品などから女性は都内に住む３０代とみられ、口に粘着テープを張り、アイマスクをしていたということです。
　調べによりますと、防犯カメラに１５日午後７時過ぎ、１０階建てビルの外階段を上って屋上に向かう女性の姿が映っていたということで、警視庁は、女性が屋上から飛び降り自殺をしたとみて詳しく調べています。（2015年5月16日　TBS）』（http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/tbs-20150516-33974/1.htm）
　この事件の伝え方は不可解だ。


　警察発表をそのまま伝えたのだろうが、「顔に粘着テープとアイマスクをした」不審な状態の遺体が発見されたのに、「屋上から飛び降り自殺をした」という見方を一方的に伝えている。
　結論が飛躍しているよ。
　自殺する際、どうして顔に粘着テープとアイマスクをするのか、その説明がないまま報じられている。だから不可解に感じるのだ。しかも、発見されたのはビルの隙間のとても狭い部分（リンク先に場所と思われる映像がある）。そんな場所で、普通、飛び降り自殺するだろうか？
　ところで、同じ日の午前中に、投身自殺に見せかけて殺害されたという別の事件に関する報道が有った。
『大阪府豊中市の団地の中庭で、82歳の女性の遺体が見つかりました。警察は、殺害された後、3階の自宅のベランダから投げ落とされたとみています。
　13日午前9時半ごろ、豊中市の団地に住む女性から「飛び降り自殺かもしれない」と通報がありました。警察が駆け付けたところ、団地の3階に住む大槻照子さんが中庭に倒れていて、死亡が確認されました。
　近所の住民：「優しい感じの可愛らしいおばあちゃんでしたよ。小柄な」「（Q.トラブルは？）全然ないです」
　司法解剖の結果、死因は首の圧迫による窒息死で、首の骨が折れていました。室内に荒らされた跡はなく、「死刑よりもつらい」などと書かれた遺書のようなメモ書きが残されていました。警察は、何者かが大槻さんの首を絞めて殺害した後、飛び降り自殺を装うために3階のベランダから投げ落とした可能性があるとして捜査しています。（05/16　テレ朝news）』（http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000050540.html）
　大阪の事件は、投身自殺に見せかけた殺人だった。


　そういう事件について報道されている一方で、１６日午後の東京で起きた投身自殺に関するニュースでは、状況に不審な点があるのに、詳しい説明も無く、いきなり自殺という推論を押し付けてくる。
　何でそうなるのか？
　この東京の事件については、警察はもう少し推論の詳細を発表すべきだし、マスコミも丁寧に取材して報道すべきだろう。
　認知的不協和を齎すようなニュースを、それを解消しないまま報じるのは、ニュースを見る人に対して何かの心理的効果を与えようとする別の意図があるのかと考えてしまう。
　それとも真相を報道できない事情があるから、裏読みしてくれ・・・と、そう言うことなのか？
　事件もそうだし、報道の仕方も何かすっきりしないんだよね。

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