限定的敵基地攻撃能力

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　アメリカ政府が、日本へ潜水艦発射型ハープーンの輸出を承認するようだ。
『アメリカ国防安全保障協力局(DSCA)は、2015年5月12日、国務省が日本へUGM-84LハープーンBlock IIミサイルと関連機器、部品、サポートなどを、対外有償軍事援助(FMS)で輸出することを承認したため、この輸出案を議会へ報告しました。
　日本政府はUGM-84LハープーンBlock IIミサイル48基とコンテナ、部品、支援機器、技術資料、訓練、各種サポートなどを求めています。推定コストは1.99億ドルと見積もられています。
　UGM-84Lは潜水艦発射の長射程対艦ミサイルで、これを装備することにより海上自衛隊とアメリカ軍の相互運用性が高まり、自衛能力も向上するとしています。DSCAは輸出がアメリカの国益と一致し地域の軍事バランスを変えないと評価しています。 UGM-84Lの主契約社はミズーリ州セントルイスのボーイングです。（2015/05/14　FlyTeamニュース）』（http://flyteam.jp/news/article/49937）
　確か以前、週刊オブイェクトの記事に、そうりゅう型潜水艦には新型の射撃管制装置が搭載され、ハープーンブロック２を装備することで長距離対地攻撃能力を持つ事ができるようになると書かれていた。これまで自衛隊は、潜水艦へのハープーン級ミサイルの搭載に言及していたが、対地攻撃も可能なハープーンブロック２を装備しているとは述べていなかった。


　以下、２年前に隅田金属日誌ブログに書かれていた記事の一部を引用する。　
『ハープーンBlock-2を導入し、潜水艦から運用すれば、それなりの敵地攻撃能力を安価かつ短期間に導入できる。
　ハープーンBlock-2は、対艦攻撃モードに加えて、限定的だが対地攻撃能力がある。ハープーンは巡航ミサイルでもあるので、目標には超低空で突入する。対地攻撃では、特に低空域での防空レーダ網を用意しない限りは、レーダではまず探知されない。陸上攻撃に使った場合には、特に音でバレるかも知れない。だが、ハープーンは音速近くで飛翔する。音が聞こえる頃には目視できる程度の至近距離で、すぐに何処かに行ってしまう。対空砲で捕まる可能性も低い。
　このハープーンは、潜水艦から発射可能である。艦艇発射型ハープーンは、どのタイプでもカプセルに封入し、魚雷発射管から、それなりの深度からでも発射できる。実際に、Block-2を封入した潜水艦発射ミサイル、UGM-84Lは各国に導入されている。
　潜水艦から発射可能である点は利点である、敵の近海から奇襲的に攻撃が可能になる。射程は長くないが、陸岸によればそれなりに奥まで叩くことができる。（2013.06.28　隅田金属日誌）』（http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-642.html）


　即ち、我が国はハープーンブロック２を潜水艦に装備することで限定的な敵基地攻撃能力を持てるのである（現状でも航空機や護衛艦によるミサイル投射が可能であろうが、事前に企図を察知され邀撃されやすいので、潜水艦の方が確実性がある）。
　尤も、これで我が国が周辺国より優位になるということは全くない。残念ながら、我が国周辺国は、既に同種の兵器を持っているし（例えばハープーンブロック２は、韓国や台湾も導入済み）、韓国、北朝鮮、中国、ロシアが持つ地対地長距離ミサイルは、いつでも日本全土を攻撃できるのだから。
　対する我が国は、日本本土から半島や大陸に届く長距離の巡航ミサイルや弾道ミサイルを一発も持たず（http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20150330/1427670804）、今回導入する潜水艦発射型ハープーンブロック２にしても、射程は１４０キロ程度である。潜水艦で敵本土に近付いたとしても内陸深部の目標は破壊できない。つまり、この装備によっても、我が国は依然として周辺国に対し、圧倒的に不利なのである。
　まあ、それでも無いよりマシだ。できれば日本は、独自にハープーン搭載可能な小型核弾頭を秘密開発すべきだ！（http://blog.goo.ne.jp/saruyamataro/e/415e4cfc7187817f6435b354123fcc20）
　ハープーンへの核搭載であれば、内陸深くに都市を持つ米国やロシア、中国のような大陸国の脅威にならないから、バレても核武装を見逃して貰えるかも知れない。
　そしてハープーンに核弾頭を搭載すれば、北朝鮮クラスの核保有国に対する核抑止には有効なのだ。

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