謀略のバルバロッサ作戦


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 1941年6月22日、ドイツ軍は、独ソ不可侵条約を破り、突如ソビエト連邦へ奇襲攻撃した。バルバロッサ作戦の発動である。この歴史的事件は、日本から遥か遠くの出来事のようでいて、今から振り返れば、実は当時の日本の運命を破滅へと向かわせた決定的な重大事件であった。

 バルバロッサ作戦発動直前まで、日本はヒトラーの意図を全く知らなかった。
 当時、日本は米英支蘭ABCD包囲網を破るため、日独伊ソ四国同盟の実現を目指しており(http://www.nids.go.jp/event/forum/pdf/2010/09.pdf)、宿敵であるソ連と日ソ中立条約まで結ぶほど、英米の圧迫に苦しんでいたのである。以下に、独ソ戦前のアメリカによる対日封鎖と経済制裁のあらましを示しておく(https://ja.wikipedia.org/wiki/ABCD%E5%8C%85%E5%9B%B2%E7%B6%B2)。


対日経済封鎖
1937年(昭和12年)10月5日 ルーズベルトによる「隔離演説」
1939年(昭和14年)7月 日米通商航海条約破棄を通告
1939年(昭和14年)12月 モラル・エンバーゴ(道義的輸出禁止)として航空機ガソリン製造設備、製造技術の関する権利の輸出を停止するよう通知。
1940年(昭和15年)1月 日米通商航海条約失効
1940年(昭和15年)6月 特殊工作機械等の対日輸出の許可制
1940年(昭和15年)7月 国防強化促進法成立(大統領の輸出品目選定権限)
1940年(昭和15年)7月26日 鉄と日本鉄鋼輸出切削油輸出管理法成立
1940年(昭和15年)8月 石油製品(主にオクタン価87以上の航空用燃料)、航空ガソリン添加用四エチル鉛、鉄・屑鉄の輸出許可制
1940年(昭和15年)同8月 航空機用燃料の西半球以外への全面禁輸
1940年(昭和15年)9月 屑鉄の全面禁輸
1940年(昭和15年)12月 航空機潤滑油製造装置ほか15品目の輸出許可制
1941年(昭和16年)6月 石油の輸出許可制

 それ故、日本はABCD包囲網を突破する手段を模索するが、その抜け道を完全に塞いだのが皮肉にも同盟国ドイツによるバルバロッサ作戦だった(http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20130314/1363275753)。独ソ戦開始により、日本の目論む日独伊ソ四国同盟の夢は無残に粉砕された。
 日本は1941年6月の時点では、まだ英米と交戦状態には無かったが、既に大西洋や地中海は欧州戦争の影響で船便による安全な航行は見込めなかった。他方、大陸では蒋介石から仕掛けられた支那事変が継続していた。
 そしてアメリカは、一方的に蒋介石の肩を持ち、1941年7月に在米日本資産凍結、8月には石油対日全面禁輸を行い日本が生存する道を断った。日本の周辺は安全に航行出来たが、アジアの殆どは欧米の植民地で日本は生存に必要な物資を交易により調達することが出来なくなった。
 結果、日本は地政学的に八方ふさがりに陥り、破局コースを辿ることになる。


 結局、こう言えるだろう。
 日本は平和を求めていたが、国際社会の悪意により日本の外交的選択は全て裏目に出た。ヒトラーの嘘とルーズベルトの陰謀によって国際的に孤立させられた挙句、日本は1941年12月、真珠湾攻撃が必要な状態にまで追い詰められた。やがて日米戦争に敗北。1945年8月の日本は、スターリンの野望により最期のトドメを刺された(八月の嵐作戦)。
 戦後のドイツ人は、日本がアメリカを戦争に巻き込んだから第二次大戦でドイツが負けたと恨み節を言うことがあるが、冗談ではない。
 もしヒトラーが突如ソ連攻撃を始めなければ、日本は交渉次第でソ連から石油輸入の可能性があり(http://www.ier.hit-u.ac.jp/COE/Japanese/discussionpapers/DP98.4/honbun4.htm)、真珠湾攻撃するまでの状況に追い詰められることも無かったろう(独ソ戦によりその見込みが消えて始めて、日本は大慌てで南進か北進かと戦争を議論し出すのである・・・それまで何の準備計画も無く完全な泥縄である)。
 確かにソ連は信頼できる国では無かった。しかし、だからと言って不可侵条約を破りソ連を攻撃したヒトラーの行動は全く正当化できない。我が国にとって完全に想定外の行動であり、大迷惑であった。
 結局、第二次世界大戦の前後で、日本は列強のペテン師達の餌食になったと言える。日本からペテンを仕掛けたことは無いので、我が国は国際謀略の100%完全な被害者だ。
 国際社会に於ける外交など、所詮は騙し合いだ。今も中国、韓国、北朝鮮等、日本の周りはペテン国家ばかりである。状況は大して変わっていない。
 精々、騙されないようにしないと。
 我が国は、また騙され兼ねない。


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