五輪ロゴ、本当に問題無しか?


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 問題となっている五輪ロゴに関し、ベルギーのデザイナーが ”対応求める書面送る”と述べている。
『2020年の東京オリンピックのエンブレムについて、みずからが制作したロゴに極めて似ていると主張しているベルギーのデザイナーが、NHKのインタビューに答え、エンブレムのデザインの変更が望ましいとしたうえで、まずは弁護士を通じて大会の組織委員会に対応を求める書面を送ることになるという考えを示しました。
 この問題は、ベルギー東部、リエージュ在住のグラフィックデザイナー、オリビエ・ドビ氏が、東京オリンピックのエンブレムについてみずからが2年前に地元の劇場のために制作したロゴと極めて似ていると主張しているものです。
 ドビ氏は30日、NHKのインタビューに答え、「劇場にとっても、私にとっても、私の作品と似たものが使われるのは困る」と述べ、まずは著作権に精通した弁護士を通じて大会の組織委員会に対応を求める書面を送ることになるという考えを示しました。
 そのうえでドビ氏は、「願わくば、東京オリンピックのエンブレムが変更され、独自性のあるものになってほしい」と述べ、エンブレムのデザインの変更が望ましいという考えを示しました。
 この問題はベルギーの新聞やテレビでも大きく取り上げられ、市民も高い関心を寄せています。劇場があるリエージュの市民からは、「劇場のロゴを誇りに思っているのでまねされたくない」といった声が上がる一方、「2つのデザインはよく似ているが、単なる偶然だろう。このままでよいと思う」といった意見も聞かれました。(7月31日 NNKNEWSWEB)』(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150731/k10010172961000.html
 これは問題になりそうだ!


 しかし、東京五輪組織委員会は、各国の商標を確認してIOC=国際オリンピック委員会の承認を得ているので問題はないとの見解を示している(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150730/k10010171901000.html)。
 組織委員会は、自信を持って法的に問題ないと言っているようだが、本当にそうだろうか?
 私は少々、疑問を持っている。
 というのも、五輪ロゴをデザインした佐野研二郎氏の過去のデザインを見ると、何か元になるデザインがあり、そのオマージュを作ると言うスタイルのものがあるように見受けられるからだ(http://testkun.blog.jp/archives/38441429.html)。元になるデザインがあり、それを換骨奪胎して別のデザインを作るというのが、彼の作風の一つなのかも知れない。
 そうだとすると、それ自体、結構、ギリギリのやり方だ。例えば、かつて著作権違反で争われた「パロディ事件」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6)などの有名な判例がある。一部を使っただけでも著作権違反は成立しうる。しかし佐野氏は、こうした判例も知った上で、問題の無い範囲で、これまでデザインして来たのだろう。
 著作権裁判で立証が難しいのは、依拠性の立証である。今回の例で言えば、佐野氏が、作品を作る上でドビ氏の作品を参考にしたかどうかという点。
 通常は、この立証が非常に難しい。
 ほぼ不可能である。だから皆が知ってるようなもので無ければ、知らないと言い張れば著作権違反に問われずに、何とかなる。
「パロディ事件」では、写真の借用だったので、知らないとか、違うとか言えなかった。だから著作権違反になった。図案の場合は、違っていれば「たまたま似てた」と言い逃れられる。だから著作権法違反になりにくい。
 しかし、佐野氏のように、過去のデザインに他の作品に依拠したと思われるオマージュ作品のようなものが複数散見される場合はどうか?


 当然、ドビ氏側は、裁判になれば、それを証拠として出してくるはずだ。そうした証拠は、裁判官の心証に一定の影響を与える。
 つまり、直接依拠したと立証する証拠が無くても、過去の作品に他者の作品に依拠したと思われる作品があるのだから、今回の作品も、そうしたプロセスで作られた可能性がある・・・即ち、五輪ロゴがドビ氏のデザインに依拠している蓋然性が高いと、そのように裁判官が心証を形成する可能性は十分あり得るように思うのである。
 そのようにしてドビ氏の作品に依拠していると推認されれば、今度は類似性が問題となるが、これは相当変えたとしても、主要な部分が利用されていれば、やはり著作権違反になり得る。
 例えば「天才サザエボン」事件というのがあった。これは天才バカボンサザエさんという二つの著名なキャラクターを混ぜ合わせ、独自のキャラクターを創作したものだが、これも著作権法上、問題とされた(http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20140831/Mogumogunews_033.html)。
 佐野氏の今回の五輪ロゴについては、ベルギーのリエージュ劇場のロゴと、そしてフランスのデザイン会社Studio Debieの二つのデザインを合わせたようだとも一部で囁かれている(http://fxya.blog129.fc2.com/?no=21996)。
 そのように2つのデザインを混合して、一見、オリジナルに見える作品にしたとしても、それぞれの作品に依拠して主要な部分を無断で利用していると裁判所が判断するならば、やはり著作権違反が成立し得る。
 デザインの法的保護には、意匠や商標、著作権など幾つかの法律が絡んでいる。
 東京五輪組織委員会は、「意匠」として問題なかったからOKと言っているが、恐らくドビ氏は著作権で攻めて来るだろう。それで問題無いと言い切れるのだろうか?、著作権違反となれば、利用の差し止めもあり得るのだ。
 いずれにしろ、裁判ともなれば、新しい知財判例を提供してくれる興味深い争いになるように思う。


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