米、原油輸出解禁の思惑


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 米国が、40年ぶりに原油輸出を解禁したことで、またガソリンが安くなることが見込まれる。
アメリカで、原油の輸出を40年ぶりに解禁する措置を盛り込んだ法案が成立しました。原油価格をさらに押し下げる可能性があります。
 アメリカでは第1次石油ショック以降、原油の輸出は40年間、禁止されてきました。しかし、シェールオイルの産出が急増したことなどを受け、共和党が輸出解禁を主張してきました。一方、オバマ大統領や民主党地球温暖化問題を理由に反対していましたが、今回、再生可能エネルギーへの支援策を歳出法案に盛り込むことで容認に転じました。ニューヨークの原油先物相場は18日、1バレル=34.73ドルと約6年10カ月ぶりの安値となりました。アメリカの輸出解禁で、供給過剰による原油安が長期化するとの見方も出てきています。(2015/12/19 テレ朝NEWS)』(http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000064740.html
 何故今、原油輸出解禁なのか?


 確か1980年代だったと思う。日米貿易摩擦が叫ばれていた頃、ニュースキャスターの木村太郎が米国識者との対談で「日米貿易摩擦を解消するのは簡単だ、アメリカがアラスカの石油を日本へ売ればいい」と、うろ覚えだがそんな事を提案していたのを思い出す。
 当時のアメリカは、貿易赤字になっても原油だけは頑として輸出を認めなかったのである。アメリカのエネルギー安全保障政策が原因であった。つまり将来のエネルギー危機に備え、米国内の油田を枯渇させないよう守っていたのである。
 それが今になって何故解禁か?
 一つは、代替エネルギー技術の発達だろう。石油依存からの脱却が進み、エネルギー源として石油だけに頼らなくても良いようになってきた。
 そこで、アメリカとしては幾つかの意図で輸出解禁に踏み切る方が戦略的に利益があると判断したのだ。
 つまり世界の石油離れが進むと、このまま石油資源を守り続けてもいずれ使い道が無くなり、資源を死蔵することになりかねないという危機感(http://d.hatena.ne.jp/NOFNOF/20150421/1429626300)。今売りに出ないと、買い手が無くなり儲けの機会を失うかも知れない。
 もう一つは、代替エネルギー技術の進歩を阻止すること。これはOPECなども良く使う手だが、世界的に代替エネルギー技術への関心が高まると、石油価格の値段を下げて代替エネルギー技術を潰すのである。
 石油を使うのに比べ、代替エネルギーの方が割高だとなれば、誰も代替エネルギーなど使わなくなる。


 確か最初のオイルショックの時、各国で石炭液化の研究が相当進んだが、その後OPECの政策が変わり原油安が演出され、液化石炭の商業的実用化を目指した計画は全て消えてしまった。石油の方が安いければ、液化石炭の工場を作っても儲けが全く無いからである。
 今は天然ガス原子力、バイオ、ソーラーと様々なエネルギーの選択肢があるが、結局、石油が一番安いとなれば、やはり経済原理で一番安いエネルギーを使うようになる。それを何年か続け、代替技術の芽を全て潰した頃に再び石油生産を絞れば、また石油危機を演出して大儲け出来るのである。
 また、こうした経済戦略の他に、資源輸出で国力を高めているロシアを牽制するという政治的な思惑もあるだろう(http://www.sankei.com/world/news/151219/wor1512190050-n1.html)。
 更に深い部分での深謀遠慮としては、落ち込んできた中国経済を支えるという意図もあるかも知れない。最近のアメリカと中国は対立しているところもあるが、かと言って中国経済が完全崩壊すればアメリカへのダメージも大きい。その為、アメリカの支配階層は中国崩壊までは全く望んでいないのである。だから格安の原油を中国へ供給して中国経済を復活させる意図もあると思われる。
 こうした複合的な要因でアメリカは原油輸出解禁に踏み切ったと考えられる。
 我が国としては、これらのアメリカの戦略意図を完全に見抜き、幾ら石油が安くなったからと言って安易に喜ばず、地道に化石燃料依存から脱していく道を模索するのが肝要である。
 日本としてはエネルギー自給こそ、長期的に一貫して選ばねばならない国家戦略である筈だからだ。

 
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