山本美香さんは狙われた



 シリアで取材活動をしていたジャーナリストの山本美香さんの銃撃死に関して、反政府組織による陰謀であり、プロパガンダに利用されたとする説が囁かれている。
『シリア北部で取材中に銃撃されて亡くなったジャーナリストの山本美香さん(45)。遺体は25日にも日本に到着する見通しだが、山本さんの死をめぐって、ある「陰謀説」が飛び交っている。ズバリ、「山本さんは、反体制派のプロパガンダに利用されたのではないか」との疑惑だ。
 山本さんのシリア入国を手引きし、同行取材させたのは反体制派武装組織「自由シリア軍(FSA)」だ。山本さんの遺体映像を、いち早く動画サイト「ユーチューブ」に投稿したのもFSAだ。山本さんは、FSAを信用していたのだろうが、こんな声が出ているのだ。
「映像では、ベッドに横たわる山本さんの遺体のそばで、FSAの兵士が『アサド政権の攻撃で殺された』と訴えていた。政府軍に比べて圧倒的に武力が劣るFSAにとって、唯一の有効手段は国際社会に現状を訴え、世論を味方につけること。少しでもシリア政府の非道ぶりを訴えたい。動画を投稿したのもそのためでしょう。しかし、銃撃戦から病院搬送、ユーチューブへの投稿までの時間が短く、まるで山本さんが銃撃されるのを“予感”していたようでした」(軍事ジャーナリスト)
 国際社会を味方にしたいFSAにとって、映像はインパクトがある方が世論を喚起できる。FSAがより“過激な映像”を求める可能性はゼロではない。
 実際、英国の「チャンネル4ニュース」の関係者は、シリアの反政府組織に同行取材した際、「危険地帯に連れて行かれ、(死ぬことで)プロパガンダに利用されそうになった」――と証言している。山本さんの場合も、22日のトルコ当局の司法解剖の結果、「狙い撃ちされた可能性が高い」というから、何やら怪しいにおいがするのだ。気になるのは、シリア政府が、山本美香さんの殺害は反政府派の仕業だ、と主張していることだ。
 戦場ジャーナリスト志葉玲氏が言う。
「さすがにFSAの自作自演はないでしょうが、投稿映像の使い方を見ていると、FSAが死者に敬意を表しているとも思えません。結果的に山本さんがプロパガンダに利用された面は否めません」
 真相は明らかになるのか。(2012年8月24日 日刊ゲンダイ)』(http://gendai.net/articles/view/syakai/138369
 この事件、日本での報道は、政府軍により山本美香さんが殺害されたとする記事が主流である。撮影されたビデオを見ると、銃撃の前に正体不明の男が指さし「日本人だ!」と叫び、その直後に銃撃が始まった、その一部始終が確かに映っている(http://news.livedoor.com/article/detail/6885127/ http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00230142.html)。つまり、山本美香さんは、明らかに狙われたのだ!
 反政府勢力である自由シリア軍の中核は、イスラム国家樹立を目指す過激な宗教勢力だという(http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/08/post-2654.php)。そういう点から言えば、ジャーナリストとは言え、イスラムの伝統を無視し、顔も隠さず男性と同じように第一線で活動する山本さんの姿は、もしかすると自由シリア軍からも好ましく思われていなかった可能性がある。
 ネットを見ていたら、シリアを旅行したという女性の記事を見つけたのだが、それによるとシリアで女性が歩いているとナンパや痴漢によくあったり、すれ違いざまに男が手を握ってきたりすることがあるという。また、今回の事件があったアレッポでは、ちょっと道を聞いたりすると「今から一緒に家に行って寝よう♪」と言う人に結構会ったそうだ(http://www.ne.jp/asahi/kiki/love/syr.htm)。要は、極端な男尊女卑の世界なのだろう。
 シリアのメクダド外務副大臣は、『北部アレッポでジャーナリスト山本美香さんが銃撃を受け死亡したことについて、政府軍でなく「武装集団」が銃撃したと述べ、反体制派によるもの』との見解を発表したそうだ(http://sankei.jp.msn.com/world/news/120823/mds12082323550012-n1.htm)。他方、反政府軍側では、政府軍がやったと主張している。
 果たしてこの事件、陰謀であったのか、そうで無いのか。政府軍、反政府軍側どちらがやったのか真相は謎だが、一つ言えるのは、女性の活動を制限するイスラム文化圏の中で、男性と同じように活動している山本美香さんが、非常に目立つ存在であったろうということ。イスラム教の聖典クルアーンによれば、女性は顔と手以外を隠し、近親者以外には目立たないようにしなけらばならないとされる。また、ブルカと呼ばれるベールで顔を隠し、全身を黒い服装で覆っている女性も多い。
 イスラム圏では、女性は男性に庇護された存在であると考えられており、地域によっては女性が外に出るとき、親か夫と一緒でなければならず外出さえ自由にできない所もあるのだ。そうした文化的なギャップから、山本美香さんが特にターゲットにされたという事があるように思うのだ。
 彼女は、知ってか知らずか、イスラムの教えに対して挑戦する存在であり、それが現地のイスラム教徒から強く反感を買ったように思う・・・もう少し、現地文化に配慮した服装や、振る舞い方をしていたら、もしかすると結果は違ったかもしれないと思う・・・あるいはイスラム文化による女性の抑圧を、彼女自身の取材スタイルを通して糾弾することも、彼女の取材目的の一部だったのだろうか?
 今回、山本美香さんが志半ばで殺害された事は大変に残念な事だ。彼女は無念な思いをしたかもしれない。だが、戦争報道には危険が付きものである。それは彼女も知っていたろう。一人のジャーナリストの人生としては、全うした生き方だったのではないか。山本美香さんのご冥福を祈りたい。




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