日本人が狙われた、2013年アルジェリア、そして1996年ペルー



 アルジェリア人質事件で、テログループは、特に日本人を狙い犯行に及んだ可能性も浮上して来たようだ。
アルジェリア人質事件で、犯行グループの武装勢力が事件発生時に南東部イナメナスのガス田施設の居住区に侵入した際、日揮の日本人駐在員が居住する区域を最初に襲っていたことが分かった。地元紙が22日までに伝えた。施設の配置などを事前に調べていた可能性が高い。アルジェリア治安当局がガス田施設内の日揮の調理場で働く従業員2人から事情聴取を行っていることも分かった。2人が武装勢力に加担していた疑いがある。
 地元紙が伝えた目撃者の情報によると、武装勢力は16日午前6時20分ごろ、居住区の日本人らの区域を最初に襲撃。後で現場から日本人の5遺体が見つかった。同紙は、5人は逃げようとして射殺されたとみられると伝えた。ガス田施設には、武装勢力が所持していたとみられる現場見取り図が複数残っていたことも判明。武装勢力が日本人居住区などの配置を事前に調べていた可能性が高い。
 日揮の調理場で働く従業員2人と、他に現地で操業する英石油大手BPの4人の警備員、アルジェリア国営企業の5人の従業員の取り調べも開始。従業員に内通者がいたとの見方を強めている。従業員らから押収した携帯電話には、マリやリビアなどに国際電話をかけた履歴が残っていた。武装勢力32人はマリから移動してきたとみられる。
 日揮の広報担当者はこの日の会見で、同社従業員に内通者がいたとの疑いについて「全く認識していない。(調理場で働く2人は)居住キャンプ設営を請け負った外国企業の下請けで、地元ケータリング会社の従業員」と説明。日揮の従業員ではないとした。
 また、武装勢力が使用した複数の車両が、現地で操業するアルジェリア国営企業の警備車に酷似していたことも分かった。治安当局は、武装勢力が施設の警備をくぐり抜けるため、「偽装」した車両を準備したとみている。武装勢力から衛星携帯電話3台を押収。発着信履歴の解析を進めるという。拘束した武装勢力メンバー3人の取り調べも実施。全容解明を急いでいる。(日刊スポーツ 2013年1月23日)』(http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp1-20130123-1075496.html

 記事が事実であり、日本人を最初に襲撃していたならば、日本人拉致が目的だった可能性はある。もし本当に日本人を狙ったとしたら、日本人を人質にすれば、弱腰な日本政府と交渉が可能だとテログループが考えたという事なのだろう。それなら、確かにその読みは正しいが、残念な事に日本政府は、その弱腰故に対外的な影響力も小さいのである。フランスやアルジェリア政府を動かす力は、日本には無かったのだ。
 それ故、無謀な掃討作戦は強行され、多くの日本人が犠牲にされた。アルジェリアのいい加減な救出作戦(実体は掃討作戦)を見るとき、比較して思い出されるのは、1996年に発生した、ペルーの日本大使公邸人質事件の解決の見事さである。当時のアルベルト・フジモリ大統領は、本当に良くやってくれたと思う。日本人に一人の犠牲者も出す事無く、トンネル作戦により、立てこもるトゥパク・アマルを殲滅したのである。
 日系のフジモリ大統領に対し、日本政府からは絶対に犠牲者を出すなとの厳しい指示が出ていたという。その為、フジモリ大統領は救出作戦について、日本に何も通知しなかったと言われる。日本側の軟弱な態度から察し、止めろと言われるのが分かっていたからだ。
 だがフジモリ大統領は賭けをし、その賭けに勝った。ところが、日本側からは、救出作戦を事前相談しなかった事について、大きな不満がフジモリ大統領に表明されたと言う。
 ところで、ジャーナリストの青山氏は良い評論をされると思うが、フジモリ大統領に関しては批判的な見解を表明していることが知られている。フジモリ大統領が、トゥパク・アマルに対し皆殺し命令を出していた事、それからトゥパク・アマルのメンバーに若い女性がいて、生きて捕虜にしたにも関わらず、突入した救出部隊が残虐な殺し方をした事、この二点で青山氏はフジモリ大統領を批判する(http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid297.html)。
 この青山氏の感じる義憤は正しいのだろう。ジャーナリストとしての正義の感覚。ただ、それを当時のペルーに当てはめ、フジモリ大統領を糾弾するところに、私は若干の躊躇を感じる。その正義は、平和日本の穏やかな社会から眺めた時の正義であって、野戦司令部に籠り、命の危険を顧みず、長期に渡りセンデロ・ルミノソトゥパク・アマルの鎮圧作戦を行ったフジモリ大統領に対して、押し付けるべき正義では無いと私は思うのだ。当時のペルーにおけるゲリラ戦争というものは、日本人の想像を絶する。フジモリ大統領はゲリラの鎮圧に成功し、ペルーに安定を齎すことに成功した。それが彼にとっての正義だったのだ。
 フジモリ氏は側近の裏切りにより大統領を失脚した後、日本で亡命生活を送っていたが、ペルーでの返り咲きを狙い帰国するという行動に出た。だが目論見は果たせず、今はペルーの刑務所に収監され、病床に伏している(http://www.jiji.com/jc/zc?k=201210/2012101500474)。2007年、国民新党の亀井氏(当時)が、麻生外務大臣(当時)に対し、日本で選挙活動できるよう、フジモリ氏を釈放するようペルー政府に働きかけるよう要請したが、断られるという事件もあった。
 日本政府も、公式的な支援は、もう何もしていないようだ。だが私は、こういう所にも戦後日本のだらしなさを見るのである。何を言われようと、日本人はフジモリ元大統領に恩義がある。日本政府は、あらゆる可能な外交的手段を使って、何が何でも支援すべきなのだ。
 必死の思いでフジモリ元大統領が日本人人質を助けても、日本政府が救出作戦の恩人を見捨てるようでは、アルジェリア政府が日本政府を無視して日本人人質を見殺しにすると判断したとしても、やむを得ないと思わないだろうか?
 全てはつながっている。青山氏は良いジャーナリストだと思うが、フジモリ元大統領に批判的なところ、それから核武装に反対している点、その2点については、賛同しかねている。



核武装マグカップ
核武装C
核武装C

1,295円



<日本大使公邸襲撃事件―占拠126日と最後の41秒間    単行本>


<日本はフジモリ氏を支援すべき!、クリック宜しく。 m(_ _)m>

人気ブログランキングへ



(リンク)
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-4942.html