先に一発撃たせるため?



『「何より大きな危険は誤算だ」。世界を核戦争の縁に立たせたキューバ危機のさなか、ケネディ米大統領は側近にこう言って、バーバラ・タックマンの著書「八月の砲声」に記された第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)の経緯について語って聞かせた。
 大戦の開戦当時「なぜ、こんなことに」と嘆いたのは他ならないドイツの首相だった。国家間の相互依存の進んだ欧州では二度と戦争は起こらないといわれた戦前である。だが、どの大国の指導層も望んでいなかった戦争は起こり、900万人が戦死することになる。
 タックマンの著書は、政治家らの誤算の累積により各国の軍の戦争計画が連鎖的に発動した経緯を記している。ケネディがこの書を米国の軍人らに必読書として推奨したのは、誤算の連鎖反応が招く危機のエスカレーションの恐ろしさを認識させたかったからだろう。
 さてこちらは誰がどんな計算の上で行った挑発なのか。東シナ海で日本の護衛艦に中国海軍の艦船が火器管制レーダーの照射を行っていたという例の事件である。事あれかしといわんばかりの行動からうかがえるのは軍事的緊張に日本を引きずり込もうという底意だ。
 それが日中の相互依存関係の破壊もいとわないという上級指導部の意図なら論外だが、一部の軍人の暴走だとしてもこれまた危険極まりない軍の無統制を意味する。ここは日本が冷静に緊張のエスカレート封じに手立てを尽くすことが国際社会の共感を得る道だろう。
 ケネディキューバ危機の後にソ連との間でホットライン設置など偶発戦争防止措置を取った。歴史に多くの知恵を学ばねばならない東シナ海の風雲である。(毎日新聞 2013年02月07日)』(http://mainichi.jp/opinion/news/20130207k0000m070114000c.html

 これはレーダー照射事件に関する先月の毎日新聞の論調である。気になったのは以下の部分。
「事あれかしといわんばかりの行動からうかがえるのは軍事的緊張に日本を引きずり込もうという底意だ」というところ。はて?、日本の新聞は、何時からこんな陰謀論を主張するようになったのだ?
 軍事的緊張に日本を引きずり込もうという底意・・・そうそう、確かに、そういう出来事は知られている。歴史を研究すれば、日本に先に一発撃たせようとして挑発が仕組まれた陰謀が幾つか見つかる。
 盧溝橋事件では、国民党の攻撃に偽装し、中国共産党工作員が日本軍に発砲して、国民党軍と日本軍との間に戦闘状態を作り出した(http://soumoukukki.at.webry.info/201101/article_3.html)。他にもこういう例がある。日米戦争の前には、アメリカは世界戦争を起こすため、日本が絶対飲めない条件を書いたハル・ノートを日本側に突き付け、日本の攻撃を誘発させた(http://cosmo-world.seesaa.net/article/142255894.html)。
 だが、産経以外の日本の新聞は、普段、そういうのは陰謀論に過ぎないとか言って、事実を見ようともせず深く語らないだろ。なのに、何故、この事件では、わざわざ唐突に陰謀めいた話を持ってきて、日本に自制を促すのか?、何だか、そっちの新聞の態度の方が陰謀臭いぞ。
 八月の砲声の話も、キューバ危機の話も、戦争に引きずり込もうという底意は誰にも無かったのに、偶発的な出来事の連鎖で危機がエスカレーションしました・・・だから気を付けましょう、という話だ。誰も陰謀を企んでいない。その話から、急に誰かが底意を持って日本を軍事的緊張に引きずり込む・・・という話に突然飛躍するから、違和感があるのだ。
 つまり、この記事の結論に持って行くなら、既に歴史的事実である盧溝橋事件やハル・ノートでのコミンテルンの陰謀を挙げたりして(http://nipponjine.exblog.jp/13956442)、こんな事例もあるから日本は気を付けないといけない・・・と持って行かないと、読む方はすんなり飲み込めない。
 肝心な話を挟まずに(触れたくなかった?)、先に一発撃たせるための悪だくみの可能性があるから気を付けろ、と唐突に言われてもねえ。記事を書いた人がどうしてそう思ったか根拠が分からないでしょ。だから、どんな挑発されても日本は我慢しろ、という見解を、押し付けられているような気がするよ。
 結局、日本は中国から何されても反撃するな・・・そういう事が言いたかったのかな、毎日新聞さんは?
 




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