サンダーバードがニュージーランドでリメイク
イギリスのテレビ作品「サンダーバード」（アメリカで実写映画化もされた）が、今度は、ニュージーランドで新たなＴＶシリーズとしてリメイクされると言う。
『秘密組織「国際救助隊」が最先端メカを駆使して活躍する英国の特撮テレビ番組「サンダーバード」が、ニュージーランドでリメークされる。映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの特撮で米アカデミー賞を受賞した特殊効果技術者リチャード・テーラー氏が率いるＷＥＴＡワークショップが最新技術で再生させると５日、発表された。
新サンダーバードは旧作品の２６話をリメーク。英民放ＩＴＶで２０１５年に放映予定だ。
テーラー氏は「子供のころテレビで見たサンダーバードから大変な影響を受けた」と回想。１９６０年代に英国で放映された旧シリーズは、当時の最新技術を投入した人形劇で「スーパーマリオネーション」と呼ばれた。新作はＣＧ（コンピューター・グラフィックス）と実写を組み合わせるという。（2013年2月5日 朝日新聞デジタル）』（http://www.asahi.com/culture/update/0205/JJT201302050003.html）
ちょっと思いついた事を書きたくて、このネタを取り上げた。
ＴＶシリーズのサンダーバードは知っていると思う。あの人形劇のやつ。子供の頃、私も散々見た記憶がある。このイギリスの人形劇作品、２００４年に実写版リメイク映画がハリウッドで作られたのだが、実写映画の方は殆どヒットしなかった。
で、私が思っている事というのは、ハリウッドが自国のコンテンツ以外のリメイク作品を撮る時、意図的に、わざと詰まらなく撮ったり、或いはイメージを破壊する（ブランド破壊）工作を行っているのではないかと言う事。
直ぐ思い浮かぶのは、ハリウッド版ゴジラ。あれは酷かった。全然ゴジラじゃないし、当然、ヒットもしなかった（今度、また新作ゴジラがハリウッドで作られるそうだが、１９９８年版とは全く異なるという。ブランドイメージの一体性なんか、全く考えて無い。滅茶苦茶。 http://news.goo.ne.jp/article/crankin/entertainment/crankin-2284910.html）。
その一方、アメリカは自国のコンテンツ、例えばスパイダーマンとかバットマンとかアイアンマンとか、そういうのは、ちゃんと収益が出るように作っている（面白い作品とは思わないけれども）。そこそこ当たっているから、シリーズで連作になるように作られている。自国のキャラクターの場合、ブランドイメージを傷つけず継続的に収益が得られるように、連中は考えて仕事をしているのだ。確証は無いけど、そんな例が多いような気がする。
つまり、ハリウッド（ディズニーを始めとするアメリカのコンテンツ産業）は、他国の有力なキャラクターブランドについてはズタズタに破壊し、自国のキャラクターブランドについてはキチンと育てる。こういう作戦を、極めて戦略的に、恣意的にやっている気がするのだ。
まあ日本の貧乏な作家のところに、ハリウッドから突然オファーが来れば、舞い上がって映画化権や版権を売ってしまうのはわかるのだけど、本来ならば、そう言う場合、大切な作品であればある程、慎重になるべきだ。
一度破壊されたブランドイメージは、中々元に戻せない。例えばゴジラのように、日本が作り上げたキャラクターのリメイク作品を作るのであれば、ハリウッドなんかじゃなく、日本の製作会社により、日本人の手で作品を撮るべきなのだ！
以下に参考までに、ハリウッドの実写映画化の際にオクラ入りになったという、サンダーバードのＴＶリメイク版パイロットフィルムを紹介しておく。
このハリウッドに潰されたリメイク企画のサンダーバードの方が、ハリウッド版の実写映画より、ずっとオリジナル作品のイメージを保っていると思うのだが。以下は、２００４年の実写映画版サンダーバードの動画。楽しそうではあるが、オリジナル版を知っている者からすると、なんかイメージが・・・。
映画業界と言うのは、一見いい加減に見えて、その実、昔の満映じゃないけど、国家の意図と言うものがしっかり介在する世界だと思う（パールハーバーとか南京事件とかプロパガンダ映画も作られたりするし）。純粋なアートの世界ではない所がある。映画好きとしては、ハリウッドに悪意を感じる時があるのだ。
そういう点で、イギリス人が、新たなサンダーバードのＴＶリメイク版の企画を、ハリウッドでなく、英連邦の一つであるニュージーランドで作らせる事にしたのは、正しい選択だと思う。次は、正統なブランドイメージを継承したサンダーバードが見られる事を期待したい。
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