ロシア、北方領土交渉を打ち切る


↑↑↑始めにクリックよろしくお願いします!
 日ロ外相会談で、北方領土問題につきロシア側が交渉拒否の態度を示した。
『ロシア訪問中の岸田文雄外相は21日午後(日本時間同日夜)、ロシアのラブロフ外相と会談した。会談後ラブロフ氏は「北方領土問題については協議しなかった。協議したのは、平和条約締結問題だ」と述べ、日本と北方領土交渉を行うことを拒否する姿勢を鮮明にした。
 ラブロフ氏は「ロシア側のアプローチは、日本が第2次大戦後の歴史の現実と国連憲章を受け入れることが問題の前進のために不可欠だということだ」と述べた。第2次大戦の結果、北方四島はロシアのものとなり、敗戦国の日本に異議を唱える資格はない、という強硬な主張だ。「平和条約交渉とは、領土問題をめぐる交渉のことだ」という日本の立場は否定したとみられる。
 日本側が年内の実現を目指しているプーチン大統領の訪日日程も決まらなかった。
 ただ両外相は、中断していた平和条約締結問題についての外務次官級協議を10月8日にモスクワで行うと発表した。
 岸田氏は会見で「双方に受け入れ可能な解決策を作成するため、対話を続けていかなければならない。そのような認識はラブロフ大臣と共有できた」と述べ、一定の成果があったと強調した。(朝日新聞デジタル 9月22日)』(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150922-00000007-asahi-pol
 何故こうなったか?


 一時はプーチンが「引き分け」発言し、交渉が大きく進むのではないか、とも見られていた領土問題。しかし、ロシア側から北方領土問題について、事実上の交渉打ち切りが告げられた。
 薄々こうなると思っていたが。
 こうなった一番の理由は、安倍首相の米国議会での演説にあったと私は考える。安倍首相は今年の4月、このような原則を述べた。
『第1に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第2に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第3に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。』(http://www.sankei.com/politics/news/150430/plt1504300009-n3.html
 ここで日本は明言したのである。「武力や威嚇は、自己の主張のため用いない」と。これはウクライナに対するロシアの態度への当て付けとも取れるが、ロシア側からすれば「ロシアが何をしても日本は北方領土を武力によって奪い返すことは無い」と日本が宣言した様にも受け取れるのである。
 この事実はロシアにとって非常に大きい。ロシアは国際法に違反して北方領土を日本から奪った。従って、日本は、これまでロシアから武力により北方領土を合法的に奪い返す正当な権利を保有していたのである。
 だが4月の安倍演説により、ロシアに嫌味を言うような形で日本がその権利を放棄した(とロシアは受け取った)。
 ロシアにしてみれば交渉の前提が変わったのである。
 それまでは、或いは日本側が国際的な正義を完遂する為、憲法解釈を変えて、軍事的な冒険により北方領土を武力奪還する僅かな可能性が有り得るだろう・・・そのようにリアリストであるロシアは見ていた。
 その日本からの軍事的脅威が、安倍演説により完全に払拭されたのである。すると、北方領土交渉における力のバランスが変わる訳だから、ロシアとしては交渉そのものを仕切り直す必要が出て来る。
 ロシアは、日本に対し、軍事面での圧力を考慮した余計な譲歩をする必要が完全に無くなったと判断した。


 それ故、ロシアは日本に対し北方領土交渉の打ち切りを通告して来たのである(これまでの交渉をゼロにすると言われたのだから、日本にしてみればハル・ノートを突き付けられたようなものだ)。
 つまり領土交渉が打ち切られた訳だから、通常はもう軍事的オプションによる解決法しか無くなる(交渉しないと言われのだから、国際司法裁判所に訴えてもロシアは乗って来ない)。
 けれども日本側は安倍演説で「武力や威嚇は、自己の主張のため用いない」と既に宣言している。つまり、日本は何も出来ないのだ。全く手も足も出せない。
 ロシアは、その厳然たる事実を、日本に確認させたかった。自分の言った言葉の本当の意味を、日本に痛感させたかった。
 だから日本に対し外相を呼びつけて領土交渉打ち切りを通知した。
 余りにも当然の結末。
「武力や威嚇は、自己の主張のため用いない」・・・そんな事は口が裂けても言うもんじゃない。この宣言は、今後日本が憲法を変える事があっても意味を持つのだ。安倍は馬鹿な事を言ったものだ。
 日本はどうするのか?
 憲法9条に加えて、更に「武力や威嚇は、自己の主張のため用いない」と国際社会に固く約束したのだから、それを破ることは出来ない。従って、考えられる方法としては、米軍に頼み込むことだ。米軍に北方領土を奪還してくれとお願いする(日本は後方支援する)。そうやって、ロシアを軍事的に威嚇する。それでロシアを再度、交渉のテーブルに引きずり出す。
 安倍演説で米国や世界に対し、紛争解決の手段として日本が武力を用いないと明言してしまった以上、残念なことに、武力による圧力に関しては、米軍に頼る以外、日本は完全に手段を無くしてしまったのだ。

 
<八月の砲声 上・下    文庫>


<軍事手段を放棄すれば当然こうなる!、クリック宜しく。 m(_ _)m>

人気ブログランキングへ


(リンク)
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-5963.html